分解練習で身につけた動作をゲームでも行う。ゲームで使うために分解練習しているんだから、それはできなければいけないことなんだけど、実はこれがなかなか難しかったりする。せっかくディフェンス練習しても、ゲームになると全くできなくなっているなんていうことはザラにある。

体に染み付いた動きが出てくる

そういうことになってしまう原因はいろいろ考えられるけど、「忘れてしまう」っていうのが理由の一つとしてあげられると思う。ゲーム中はいろいろなことを同時に考えなければいけないし、周りより少し遅れている人たちになると、めまぐるしく変わる展開についていくのがやっとで、頭を使う余裕がほとんど無くなってしまう。そうなると出てくるのが、頭を使わなくてもできる動き、つまり「体に染み付いている動き」だ。

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だから、せっかく練習した動きも、ゲームになるとできなくなってしまう。「体に染み付くまで練習を繰り返す」ことが必要なんだけど、今染み付いている動きに新しい動きを上書きするためにはそれなりの時間がかかる。今染み付いている動きというのも、様々な経験を経て、自分にとって最適化されてきたものだからだ。もちろんプレーの質を変えるためには、「体に染み付ける」ことを避けて通ることはできないけど、それが達成される前に挫折してしまう人も多い。

やりたいと思えていない

そもそも、自分が心からやろうとしていないというパターンもある。例えば誰かにやれと言われて練習しているようなときはこれにあたる。自分で「これができるようになりたい!」と思ってやっている練習だったら、「ゲームでできる」ことを目的にして練習しているはずだから、ゲームの中でも自然とやろうとするだろう。でも、誰かに「もっとこうしないといけないよね」と言われて「確かにそうだな」とその場では納得してやるような練習は、心の底から「やりたい」とは思っていないことも多い。義務感で取り組む練習は、やりたいという欲求によって取り組む練習に比べて、集中力も、成果もかなり落ちてしまう。モチベーションも高く保てない。だから、なかなかできるようにならない。

もし、自分が心の底からやりたいと思えないのなら、私はその練習をやらなくてもいいとすら思っている。だってどうせ身にならないから。身にならない練習に時間を費やすくらいなら、自分が本気でやりたいと思える練習に時間を費やすようにしたほうがいい。そのほうが成果も圧倒的に高くなる。

コンフォートゾーン(快適な空間)

あとはコンフォートゾーンにとどまろうとする性質も関係しているかもしれない。今までの自分から新しい自分に変わろうとするときは、「痛み」を伴うことが多い。それを乗り越えてこそ、大きな変化を起こすことができるのだけれど、今の自分は心地いいから、そのままでいたいと思ってしまう。変わりたくないという思いを、誰しもが持っている。意志の力というのは自分が思っているほど強くはないので、本気で変わろうとするなら環境を変えたり他人の助けをかりたりしながら、今までとは違う行動をしていかないといけない。

以上のことをふまえると、「練習そのものの努力」というよりは、「自分を変えることへの努力」が必要ではないかという気がしている。練習を頑張るというのは当たり前のことだから、それはそのまま継続しながら、自分が「変わる」ということへの意識ももっと持てるようになるといいかもしれません。