今回は腕が細くて力もない、腕立てふせが10回くらいしかできない私が、「どうやって強いパスが出せるようになったか」について書きます。強いパスが出せるようになったといっても、ものすごく強いパスが出せるわけではないし、まだまだ強さが足りないと感じることは多いですが、昔に比べたらかなりパスのスピードは上がっています。ここまでパスの速さを向上させてきた「過程」にはいろいろヒントがあると思いますので、ぜひ読んでみてください。

特別な練習はしていない

シュート練習をするみたいに、特別にパスだけをとりあげて練習するということはほとんどやってはいません。パス動作だけをやり続けたというのは、誰かに教えているときくらいだと思います。じゃあどこで練習したのかと言ったら、ランニングシュートのときのパスです。あれがとてもいい練習になりました。特に、リバウンドを取ってから次の人に渡すパスね。遠くの位置にいる人に投げることになるけど、あのパスをパス動作をかなり意識しながら投げていました。

みんな、ランニングシュートを適当にやりすぎだよね。ただのアップじゃないし、パスの練習だってできる。やり方によっては他にもいろいろ練習できるんだよ。もっと大切に練習してみて。

早速、脱線。

ロングパス

強いパスが出せない人は、強いパスを出そうと思って手首やら腕やらに力をいれてしまったりするんですが、力を入れれば入れるほど動作は鈍くなって、その結果パスも弱くなります。私も強いパスをだそうとして手首にガチガチに力を入れていたので、まずはその力みを取ることを目標に練習していました。

とにかく軽く動く

とにかく「軽く」投げるということ。手首がガチガチだと「押し出す」系の動きになってしまいますが、そうじゃなくて、手首にあまり力を入れず「弾きだす」ような感じにすること。力が強い人は押し出す動きでも強いパスが出せますが、非力だとそうもいきませんからね。押し出す系の動きで強いパスを出そうとすると、かなり力まなければいけなくなって、動きが遅くなります。

筋肉の「引き伸ばされれば縮もうとする性質」をうまく利用した動作ができれば、力まなくても強いパスを出すことができます。初めから筋肉に力が入っている状態だとその性質が働かないので、とにかく力を抜く。軽くやる。

これは完全に余談になりますが、どんな練習でも、いきなり難しいことをやるのではなくて、ちょっと難しいことをやるようにしたほうがいいです。なぜなら難しすぎることをやろうとすると、体が余計に力んでしまうことが多いからです。

パスだったら、いきなり長い距離で強いパスを出す練習をするのではなく、力まずにパスが出せるくらい短い距離で「動作の質」というものを考えながら練習をする必要があります。その「力まずにパスが出せるくらい短い距離」っていうのは、思っているよりも近い距離です。ごくごく短い距離で動作の質を高められるように練習を積むわけです。動作の質が高まってくれば、力みなくパスが出せる距離が少しずつ伸びていきます。

あえて山なりのパスを投げてみる

話を戻します。

我々がやっているランニングシュートではリバウンドを取ったあとちょっと長い距離のパスを出すことになりますが、軽くパスするとなると直線的なパスでは届きません。だから山なりのパスを投げます。山なりだったら少しだけ飛距離を稼ぐことができるので、その分軽い動作をしやすくなります。届かなければワンバウンドさせてもいいですね。とにかく「軽く」。力で無理やり投げる動作はNGです。

山なりのパスを投げるのは、実は距離をかせぐためだけではありません。下から上へという意識でボールを投げることで手首のスナップを効きやすくしています。

チェストパスが苦手な人は肘が開きません。肘が開かないのは肩があまり動いていないからです。肘を上にもちあげて肘を開くのではなくて、肩も前に回して(肩甲骨を斜め上に引き上げるようにして)肘を開くんです。肘を開くというよりも肘を相手のほう(前方)に向けることを意識するといいかもしれません。

そのとき胸のあたりでボールを持っている腕(肘から先)は内側にクルッと回転すると思います。親指が下に下がる感じですね。すると手のひらが前のほうに向こうとします。そうすると手首(肘から先の手のひら側)が伸ばされてきつくなってくるので、その反動も使いながらボールをはじき出します。

うまい人のチェストパスの動作を見ると、ボールを自分の方向に向かって回すような動作が見られるときがありますよね。あれですよ。といっても「手首を返す」ということを意識的にやる必要はありません。手首はあくまでリラックス。ボールが勝手にはじかれてとんでいくような感じを目指します。

肩が良く動いていないときは上方向にパスを出すことでそれをごまかし、この手首で弾きだす感覚を得やすくします。そういう意味もあって、山なりのパスで練習します。肩が動くようになってくれば、山なりでなくても同じような感覚でパスが出せるようになってきます。

手首がきいてくると「回転をかける」っていうのがどういうことなのかがわかってきます。少しずつボールにかかる回転も意識するようにしてください。回転の無いパスはキャッチミスにつながります。

肘を開くぶん動作が遅くなるのでは

肘をしっかり開いてパスを投げるという動作は、慣れないとボールが手から離れるのが遅くなってしまうような感じがします。しかし、遅くなるからといってこの動作を省略しているといつまでも弱いパスのままです。ボールが手から離れるのが多少遅れてもいいです。まずは動作を身につけることが大事だし、肘を開かないとパススピードが遅くなります。

今書いていて思いつきました。肘を開いてからパスすると遅くなると感じるのは、動作が間違っているからかもしれません。肘を開いてから腕を伸ばすのではなく、肘を開いた時点でパスが出る感覚。実際は押し出す動きもするけど、腕はそんなに伸びません(強く押せば伸びます)。腕を伸ばすという動作を、肘を開く動作にすればいいということです。遅くなるどころか、早くなる。

チェストパス

最初はパスの速さを速めることを意識するのではなくて、パスの飛距離を伸ばすことを考えながら練習したほうがいいです。速く投げようとするとどうしても力んでしまうので。力まずにできるだけ遠くにボールを飛ばすことを目標に練習する。飛距離が伸びてくれば、それだけ速いパスが出せるようになったということです。

こんなことをやっていたら、だんだんと強いパスが出せるようになってきました。特に肘から先の力みが抜けた時は、一気にパスが強くなった感覚がありました。実は筋トレすれば手っ取り早かったりするのですが、それでは「うまくなった」とは言えないし、変な動作のまま力でごまかすような動きは体にも優しくないです。動作の質を高める。そんなところを意識しながら練習するといいと思います。