今日はパスの話。ある日の練習が終わった時「パス回して簡単に攻めればいいんじゃね」と番Bが言っていました。本当にそのとおりだよね。ムダに1対1ばっかりしてムダに疲れていると思う。でもパスは全然できない。たしかこのとき3つくらいできない理由が思いつきました。

パスが回らない理由

パスが回らない理由には次のようなものがあげられます。

  1. まず狙っていない
  2. スクリーンとかもない
  3. パスを出す前にパスがバレている

まず狙っていない

パスで攻めるというのがどういうことか、イメージができていないのではないかと思います。今は一人の選手がコートを広く使ってそこで1対1をしています。でもパスで攻める場合は、一人の選手が大きくコートを使うことなく、その場で勝負しつつ他の場所でズレを作って鋭いパス、または意表をつくパスで崩すような感じです。

例えばポストにボールが入ったなら、そこで1対1をしてはいるんだけど、コートを大きく使うような1対1はせずにディフェンスとその場で駆け引きをしつつ、他のディフェンスが徐々に寄ってくるのを待ったり、意識が自分や他のどこかに向くのを待ったりして、そこから一気にパスをさばくみたいな感じ。そういうプレーで一箇所目のズレができたらそれに合わせて他のポジションが一斉に動き出してズレを大きくする。そんなイメージ。

それと、ディフェンスが見えていないというのも問題です。ディフェンスが見えていれば「ディフェンスが全然ボールを見ていないから、オフェンスの近くにディフェンスがいるけどパスを出してやろう」みたいなパスができますが、それがほとんどありません。

練習動画をダウンロードしてる人は6348の0:23を見てください。番Bがゴール下のミトにパスを出しています。これはディフェンスが自分から目を離している(ボールを見ていない)ことを確認して、その隙を逃さずパスを出しているわけです。こういうのがほしいですね。目が悪いとこれができないよイセ。

スクリーンがない

オフェンスがだいたい1対1から始まるので、スクリーンプレーがあまりありません。なんちゃってスクリーンは多いけど、かけ方が中途半端で引っかからない。スクリーンの角度も悪く、「かける」というよりは立っているだけ。ボールとは逆のサイドでスクリーンが引っかかればチャンスも生まれますが、逆サイドにいる選手がボールの方向しか見ていない(近くにいるオフェンスのことを見ていない)ため、スクリーンプレーがおこなわれません。

パスを出す前にパスがバレる

パス動作が大きすぎて、パスを出す前にパスの方向やタイミングがディフェンスにバレてしまっています。これが大きな問題。例えば上で例にあげた番Bのパスは予備動作がほどんとなく、すばやくパスを押し出すことができています。こういう動作でパスが出せると、一瞬のスキをついたパスが通るようになり、そういったパスは決まると気持ちいいのでどんどん狙うようになります。

しかし多くの人は、いったんボールを引き寄せる動作をしないとパスが出せなかったり、体を大きく沈めないとパスが出せなかったりと、動作が大きすぎて「ズレをつくるパス」が出せません。パスが「ズレをつくるために使うもの」ではなく、ただ単に「他の人にボールを渡すもの」でしかないので、それを使ってオフェンスで攻めようという気にはならないのです。

「ディフェンスの意表をつく」という意識がもっと強くなると、自然とパスモーションは小さくなってくるような気がします。

ひきつけてパス

パスで攻めることを考えるときは、「引きつけてパス」を意識するといいです。パサーが目の前のディフェンスだけでなく、他の味方をマークしているディフェンスを引きつけることができれば、パス一本でズレを作ることができます。では、どういう時にディフェンスは引きつけられるのでしょうか。

タイガへのディフェンス

シュートでディフェンスを引きつける

ディフェンスが最も警戒しているのはシュートなので、シュート動作をするとディフェンスの意識を簡単に引きつけることができます。特に2対1や3対2などのアウトナンバーの状況では、パサーがシュートフェイクでディフェンスを引きつけて他の味方にパスを出すということを考えます。

パスでディフェンスを引きつける

ディフェンスはオフェンスの次の動きを予測して動きます。パスがどこかに出そうなら先回りしてあわよくばカットしたいと考えているので、パサーがパスを出そうとしている方向には意識が向きやすいです。例えば中で面をとっている選手がいればディフェンスはそこに意識を向けるだろうし、シューターが外でフリーになっていればそこに意識を向けるでしょう。そういう状況を利用して、特定の場所にディフェンスの意識を向けさせておき、他の場所にパスをするとズレができます(中にパスを出すとみせかけて、外にパスするなど)。

1対1で引き付ける

タイガのドライブ

ディフェンスは5人で1つのボールを守ろうとするので、マンツーマンディフェンスをしていたとしてもボールマンの攻撃にいつでもヘルプにいけるよう準備しています。ということはつまり、ボールマンが1対1を仕掛けることで、周りのディフェンスの意識を引き付けることができるということです。目の前のディフェンスをなかなか突破できずに1対1を長引かせてしまうとディフェンスは引き付けることができないので、目の前のディフェンスとは一瞬で勝負をつけて、奥のヘルプディフェンスを引っ張り出すくらいの気持ちでいるとそのあとのパスがうまくいきます。

パスでズレができる実例

6351の練習動画でいい場面が確認できるので、メンバーはダウンロードしてみてください(再度ダウンロードできるようにしてあります)。2:57あたりで私が中央を攻めようとしましたが、ディフェンス2人にはばまれたので、遅れて左サイドを走ってきたミトにパスを出します。ミトはすぐにリターンパス。パスを受けた私はシュートフェイクをしてから右サイドのタイガにパスを出して、スリーポイントが決まりました。

ミトへのパスの瞬間

中央を突破しようとしたがやめてドリブルをとめる。ドリブルを止めたときのステップのままパスを出すとディフェンスがズレないので、そこではパスを出す姿勢を作りながらもパスを出さす停止。一瞬、間(ま)を作ってからミトにパス。ここでディフェンスは遅れてボールを追いかけることになっている(ズレている)。

ミトからのリターンパス

パスを受けたミトはすぐにリターンパス。キャッチするやいなやすぐにリターンを出しましたが、このときミトが自分で攻めるそぶりを少しでも見せていたら、ディフェンスがより引きつけられてリターンパスを受けた私がシュートをうてたと思う。

ここでもディフェンスはボールを追いかけるように動いています。

右サイドへのパス

ディフェンスが左サイドのミトに寄っていたので、リターンパスが出たときには私の近くにディフェンスがいなかった。パスを受けてそのままシュートをうっても良かったが、イセが右サイドのタイガに完全に背中を向けながら近寄ってきたので、シュートフェイクで引きつけてからタイガへパス。ズレが大きくなって余裕を持ってシュートをうつことができました。

アベッチが遅れてチェックに行ってますが間に合わず。タイガがシュートをうたなかったとしても、アベッチが外に出たのでローポストの陸さんはがら空き、そこにボールが入ったら今度はハイポストの私ががら空きになるという感じで、パスによって次から次へとズレが作れるわけです。いつでも、こんなイメージでパスが回せるようになるといいなと思います。

オーバーヘッドパスのストップ

パスをキャッチしてからすぐに違う場所にパスするのもいいのですが、パスのタイミングが早過ぎるとディフェンスの意識の振り幅も小さくなります。今回の例なら、意識が完全にボールマンに向くことが大切。だから私は上の例ではすぐにパスも出せたのにわざとシュートフェイクして「さらに引き付ける」ということをしたし、同じ動画の3:58の場面なんかでも、すぐにタイガにパスを出さずにディフェンスの意識が中に完全に向くのを待ってからパスを出しています(番Bとイセが手を上げてからパスを出していますよね)。こういう「間(ま)」を作れると、さらにパスでズレが作りやすくなります。