明訓高校の女バスの練習にお邪魔したときに、ゾーンが攻められないということでゾーンを崩す練習をした。動きにメリハリをつけることと、スペースを活用することを指導。さらに具体的な狙いどころを説明し、練習した。

最も簡単にゾーンディフェンスを攻める方法

もっと簡単にゾーンを攻める方法がある。それは「速攻」だ。相手がゾーンを作る前に速攻で攻める。それが一番簡単で確実な方法だ。切り替えを早くして、ゾーンが完成し切る前に攻めるという意識を持つことも必要。

ドヤ顔のトマ

切り替えが遅い。決められてから攻めるまでに時間がかかりすぎる。シュートを決められても落ち込んでいるヒマはない。すぐにボールを入れてフロントコートまで運んでしまわなければいけない。当然ドリブルだと遅いのでパスでボールを運ぶようにする。

うまくいけばゾーンが完成し切る前に攻めることができる。すでに待ち構えているディフェンスを崩すのは簡単ではないが、同時に走ってきて、または遅れて走ってきて焦っているディフェンスを崩すのは簡単だ。

シュートを決められた時よりも、相手がシュートを外したときのほうがチャンスは大きい。リバウンダー、アウトレットパスを受けるレシーバー(パサー)、そして前を走る人が瞬時に判断し、速攻を繰り出すことができれば相手よりも早くフロントコートまで行ってシュートを決めることも不可能ではない。もちろん的確な判断力、視野、ボールハンドリング技術などが必要になってくるけども。

相手よりも早くコートにいけなかったとしても、完全にゾーンが完成する前に攻めることができれば有利にオフェンスすることができる。ただし、速攻の先頭を走る人は急ぐあまりに無謀なオフェンスにならないように注意が必要。駄目だと思ったら無理せずに他の味方が来るのを待ったほうが良い。

死角をつく

ゾーンディフェンスはボールに集中するように守ります。そうするとディフェンスにとって「見えない部分」が出てきます。そこをつくとディフェンスを崩すチャンスが生まれます。

リバウンドに飛び込むイズミ

例えば右サイドで4人のオフェンスがボールを回しているとします。するとディフェンスは右サイドにばかり集中します。そして左サイドへの意識が薄れてきた頃に逆サイドへパス。見えていない部分へパスを出されたディフェンスは慌ててボールを追いかけます。

早い段階で逆サイドにふってもあまり効果がないので、じっくりパスを回すことが大切。もちろん攻め気を見せながら。ディフェンスの意識の方向や視線などをよく観察してパスを回すことが大切です。特に「ボールを追いかけさせる」ということを意識するといい。

逆サイドでボールを受けた選手はチェックが遅ければそのままシュートをうってもいいし、遅れて出てきたディフェンスに対してドライブで攻めてもいい。基本的にゾーンディフェンスは外から確率の低いシュートをうたせるのが目的なので、簡単にうってしまわないほうがいいかもしれないな。シュートの成功率によるけど。

ドライブで攻めると逆サイドにオフェンスが固まっているためにヘルプも遅れる。すると合わせの動きもしやすくなる。もちろんこの合わせの動きも、ディフェンスの「死角」からスペースに飛び込むような動きをする。

オフェンスは常にディフェンスの死角に入り込む、または死角から飛び出てくるような動きをしているとディフェンスが崩しやすくなる。そういうことをやっていると結構ペイントエリアにスペースができたりするんだよね。そしたらポストを使って攻めることができる。これがゾーンにとっては一番嫌なオフェンスだな。

言うのは簡単、やるのは難しい

いろいろ書いてきましたが、こうやって理屈を話すことは簡単なんです。たぶん、実際にやってみると思うようにいかないでしょう。言うは易く行なうは難しってやつです。理屈は理解できるかもしれない。でもやはり、この理屈を実現するだけの技術がなければいけません。

トマのスティール

これらの対策を実行するために必要にな技術は山ほどあります。動き方やボールハンドリング技術やシュート技術やその他色々。結局「基礎技術」が未熟では、いくら対策を立てても十分に効果が発揮されません。どんなに素晴らしい動きをしてディフェンスを崩しても、最後の最後でシュートが入らなければ勝てないからね。いくらフォーメーションが成功してディフェンスがズレても、こっちがシュート落としたらなんも意味ないんだよね。

個人の技術を高めていく。それにプラスしてこういったゾーンの攻め方の理屈を考える。そして練習を積む。自分たちの個人技術が向上して、そこに経験が加わったら、ゾーンディフェンスをやられても落ち着いて対処できるでしょう。ま、これも言うは易く行うは難しなんですけどね。