最近OTKさんが「諦めの境地」に足を踏み入れているような感じがします。決して無理なプレーをせず、力を抜いて周りをよく見ている。余裕が感じられます。この境地に達することが、自分を変えていく一つのポイントです。

うまくなることを諦めたわけではない

「諦め」という言葉を使っていますが、うまくなることを諦めているわけではありません。今の自分の技術はこのレベルだということを自覚して、実力以上に無理をしないというのが「諦めの境地」です。この状態になると、ムリなプレーをしなくなるのでミスが少なくなります。体の力みも少なくなり、精神的に余裕のある状態で周りを見ることができるようになるため、より合理的な選択ができるようにもなります。がむしゃらさは無くなることが多いですが、プレーの質は全体的に高くなります。

シュートをうつOTKさん

うまい人たちのプレーをみると、自分でも同じことができるような気がしてきます。同じことをやりたいという気持ちもでてきます。しかしそれをぐっとこらえて、自分の能力をはるかに越えるプレーをすることを諦める。そして自分にできることの中から、より合理的な選択をする。そんな感じではないでしょうか。

客観視の精度が高まった結果の境地

自分を客観的に評価できるようになり、その精度が高くなるとこのような状態にいたります。誰にでも「自分は優れている」と思いたい気持ちがあるので自分のことは過大評価してしまいがちですが、自分への客観視の精度があがればあがるほど現実の実力以上に自分には期待しなくなるので、自分の限界を超えたムリなプレーをしなくなります。自分ができないところは、ムリに頑張らずに他の味方に助けてもらう。それが一見「諦め」のようにも感じられるので、私は「諦めの境地」と呼んでいます。

自分の限界値を超えたプレーへのチャレンジがなくなったら、上達しなくなるんじゃないかと思うかもしれないですが、チャレンジが完全になくなるわけではありません。OTKさんのプレーを見ていてもそれはわかります。自分のプレーを一歩引いたような視点で見つつ、新しいことにいろいろ挑戦しています。まるで「これはうまくいく」「これは使えない」と一つ一つ確認しているかのようです。一歩引いたくらいの余裕がある状態のほうがいろいろ考えながら挑戦できるし、その結果を冷静に分析することができます。ただがむしゃらにプレーしているよりも、はるかに上達しやすい状態になっています。

「諦めの境地」って上達していく人は誰もがとおる道だと思います。能力が高くてがむしゃらにやっていれば結果が出てきたような人は別だけど、「壁にぶち当たった経験」がある人は壁を乗り越えるときにこの状態になっていると思う。こういうのって「一から出直す」ためにも必要なことだし、余裕を持つことは「正しい判断をする」ためにも重要。ぜひみなさんも最近のOTKさんの変化からいろいろ学んでください。