頑張って周りに合わせようとすることは大切だけど、頑張りすぎているプレーはメリットよりもデメリットのほうが大きいと思う。「頑張るプレー」は体に力みをもたらし、体をかたまらせ、体がすばやく動かない状態を作ってしまう。体がこわばると心もこわばる。心がこわばると視野も狭くなり、状況を的確に判断することもできなくなる。

余裕がなくなるほど頑張ってはいけない

うまい人が軽く動いているように見えるのは体の力みがないからで、そういう動きは力が入っていないように感じられる見た目以上に速い。しかし、うまい人でもムキになったりして体が力んだとたんにシュートが入らなくなり、ミスを連発するようになる。

体の力みはプレーの質を下げてしまう。体が力むと頭が働かなくなり判断力が低下。単調な動きになりやすい(判断ができない=選択ができない)。本来ならば柔軟に動いて衝撃を逃がす構造になっている体がかたまってしまうことで、怪我のリスクも高まってしまう。

ニセムラカワのジャンプシュート

さらに、頑張れば頑張るほどスタミナを消耗する。頑張る=必要以上(ムダ)に力を入れる=エネルギーの消費量が多くなる。エネルギーのタンク(この大きさは人それぞれ)がすぐにカラになってしまう。タンクがカラになると、ますます周りが見えなくなり、判断力がにぶる。悪循環。

余裕が無いから周りが見えない。余裕が無いから頭を使って考えることができない(「判断」ができない)。余裕がない状態で動いていると目の前に起こっている動きを「全て」追いかけることになるため、消耗も激しくなる。自分の能力を超えて無理に周りに合わせようとするとそういう状態になりやすい。

余裕を持つために諦めることも必要

力まずにプレーするために意識するのは「余裕を持つ」ということだ。「余裕がある状態=力みがない状態」と考えていい。

周りに合わせようと自分の能力以上に無理して頑張っている限り、余裕を持つことはできない(ただし「余裕を持ちながら体を一生懸命動かす」ことは可能)。そこでどうするかというと「諦める」のだ。

頑張って全部追いかけようとすると、全部少しずつ遅れてしまう。相手よりも自分のほうが動きが遅い場合はなおのことそうなる。そこで、全部追いかけるのを諦めて、あるポイントにだけ照準を合わせて動くようにする。

例えばオフェンスのとき、ボールが動くたびに自分も動くのではなくて、1つ前、2つ前のパスはじっとしていて3つ目のパスめがけて動くとか、キホンはあまり動かずにいて誰かが1対1をしかけた瞬間だけ合わせて動くとか、そういう感じ。ディフェンスなら右へのドライブはヘルプを信じて左だけに照準を合わせるとか、ドリブルチェンジだけに狙いを定めて手を出すとか(ディフェンスの場合はリスクの大きさを考えて無理はしない)。

トマとピンゴ

もちろん「さぼっていい」というわけではない。少しずつついていける動きを増やしていかなければいけない。しかし現時点で全ておいかけて全てダメになっているなら、いくつかは諦めて一つつかまえるような動き方をしたほうが余裕を持ってプレーできるかもしれないよという話です。そういうやり方をしてたほうが、「考える」ことができる分上達できると思うし。トマは自然とこういうことができているような感じがするんだよね。さぼってるだけかもしれないけど。