パスが遅いのはパスミスを起こしてしまう原因の一つになる。なぜなら、パスが遅い人は早い段階で判断を切り上げて、早めにボールを投げなければいけないからだ。

ちょうどいいタイミングで渡すために早めにパスを出す

例えばパスを受ける人が、ローポストのあたりからスリーポイントラインの外側(45度)に動く場面を考える。シューターならパスを受けてそのままスリーポイントをうつこともあるし、そこから1対1が始まることもある動きだ。このとき、パスはレシーバーがスリーポイントラインの外に出て準備ができた瞬間に出せるのがよい。

トマのチェストパス

パサーはちょうど良いタイミングでボールを渡したいので、レシーバーが移動する速度と位置を考えて、場合によってはレシーバーがスリーポイントラインの外側に出るよりもやや早めにパスを出すことになる。スリーポイントラインの外側にたどり着いた瞬間にパスがキャッチできるようにするためだ。

このパスを出すとき、仮に自分のパススピードが遅いならかなり早いタイミングでパスを出しておかなければいけない。しかし、だいたいこういう外に開く動きにはディフェンスがついてきているので、ディフェンスの動き方や動きの早さによってはパスを出さない選択をする必要があり、パスが遅いことでこの判断が難しくなってしまう。

パスが速ければギリギリまで見ることができる

自分のパスのスピードが遅ければ遅いほど、早くボールを投げなければちょうどよいタイミングでパスを渡せない。だから、パスの遅い人はパスを出すか出さないかを早めに判断してボールを投げることになる。早めに判断するということは、プレイヤーの動きを「予測」する部分が多くなるということだ。

「ディフェンスはこれからこう動くだろう」
「レシーバーはこれからこう動くだろう」

こうした予測にたよった状況判断は、そうでない状況判断に比べて外れる可能性が高くなる。結果、パスがレシーバーに渡らずミスになってしまうことが増える。

理想的には予測で状況を判断するのではなくて、目の前に今まさに起ころうとしていることを判断の材料にしたい。

「ディフェンスがこう動いた」からパスを出すor出さない。
「レシーバーがこう動いた」からパスを出すor出さない。

こちらのほうが予測にたよった判断よりも、より正確な判断をすることができる。パススピードが速ければギリギリまでプレイヤーの動きを見ることができるので、こういう判断がしやすくなるだろう。

誰も気づかないくらい、自分でも気が付かないくらいのわずかな差だけど、これはパスの確実性を左右する要因になっていると思う。パスだけじゃなくて他の動作についても同じことが言えるから、合わせて考えてみるといい。

ランニングシュートでの実例

ギリギリまで見ることができる人できない人というのは、ランニングシュートのパスを見ているとよくわかる。最近では8月21日(日)の練習でランニングシュートの様子を撮影しているのでメンバーは動画を確認してほしい。

CIMG3131の2:44くらいの私のパスと、次のトマのパスを比べるとわかりやすいだろう。どちらもレシーバーがボールを受け取った位置はほぼ同じ。しかし、パサーの手からボールが離れる瞬間の、レシーバーの位置には大きく異なっている。

私がパスを出した瞬間は、この位置にレシーバーがいる。
リーダーチェストパス

しかしトマがパスを出した瞬間は、レシーバーはまだこの位置だ。レシーバーの動きの速さはほとんど同じ。
トマチェストパス

トマはレシーバーがボールをキャッチする場所にたどりつく前の段階でボールを投げてしまっているが、私はレシーバーがキャッチする場所に今まさにたどり着くというタイミングでパスを出している。私のほうがギリギリまでレシーバーの動きを見ることができているのがわかると思う。ゲームではレシーバーにディフェンスがついてきているので、この判断の差がプレーに大きく影響することは想像しやすいだろう。

パスのずれについては、単純にパスの出だしのタイミングが遅いのと、自分の予測速度と相手の走る速さのずれだと思ってるんすけど。。自分では。

以前上記のようなコメントをもらったことがあったが、「自分の予測速度と相手の走る早さのズレ」がパスのズレにつながるのは、パスをかなり早く出してしまっているときだ。パサーの手からボールが離れてからレシーバーが受け取るまでの時間が長くなればなるほど、予測速度が間違っていたときのパスのズレが大きくなってしまう。パススピードが速ければ予測速度が間違っていても、多少ずれるだけでキャッチできないほどのズレにはならないだろう。そういう点もふくめて考えると、パススピードを速めるというのは非常に重要なことなのだ。

ということで、パススピードが遅いとパスミスも多くなるという話でした。腕力とかも関係してくるからパススピードを上げるのは簡単ではないけど、動きを改善することでもスピードアップさせられるし、スクワットや腕立て伏せもダイレクトに影響してくるはず。できることは色々あるよ。今はまだパスだけを取り出して(意識して)練習している人は少ないから、これからパスの練習をする人が増えてくれることを願っています。