「そのまま動き続けると膝を痛めるぞ」という私の忠告を聞かずに動き続けた結果、本当に膝が痛くなってしまったエーハラ。動き方を改善するためにこの間いくつかアドバイスしたけど、時間が全然足りないのでここで補足します。

膝主動から股関節主動へ

今の膝主動から股関節主動へ動きを変えていく。そのために、膝に力感を感じる動きをしないようにする。たぶん今は、膝に力感(グッという感触)を感じるように動いてしまっているはず。膝に力感を感じるということは、膝に負荷の大部分がかかってしまっているということ。それをやめる。特にジャンプのときと、左右へのステップやフェイクをするときなどに注意が必要。ほとんどの場合、膝で動いているように見える。

一番いけないのは、膝が閉じているのにつま先が外側に向いていること。つま先の向きと膝の向きがねじれていると、膝が簡単にダメージを受ける。膝を内側に絞ることをやめれば問題の大部分は解決できる。今まで以上に自分の姿勢に意識を向けること。今その瞬間自分の体がどういう形になっているのか意識すること。ビデオチェックが有効。

エーハラは股関節の外旋力が弱く、膝が閉じたまま動いていることが多い。いつも膝を閉じて背中を丸めてやや前傾姿勢で走っている。

膝を閉じている=股関節が内旋している。股関節は内旋でロックされる(動かなくなる)。本来メインの動力として使うべき股関節が使えないので、膝関節をメイン動力として使ってしまうことになる。動力として使うということは、それだけ反動も受けるということ。太い筋肉で囲まれた股関節なら大きな反動を受け止められるが、膝ではそうはいかない。特にエーハラのように筋力が強く動きが速い選手は反動も大きい。膝はその反動に耐えられない。それでダメージが蓄積される。それを続けるとそのうち壊れる。

力が入っている感じがしない動きを

私も救急車で運ばれる前までは(苦い思ひ出)エーハラと同じように動いていたので、感覚がよくわかる。膝に力感を感じているほうが、自分が速く動けていると錯覚するんだ。だから左右のフェイクで膝に力感を感じるようにして動いたり、膝に力感を感じるように膝を絞ってジャンプしたり。

でも「そのほうが速く動けている」というのはただの錯覚だ。「力感を感じる」ということは、生み出されたエネルギーが体の移動のために使われず、自分の体の中で行き場をなくしているということ。つまりただの「質の低い動き」でしかない。実際に動きも遅い(エーハラは今よりもっと速く動けるとうこと!)。体に力感(反動)を感じない動きこそが質の高い動きなので、そういう動きを求めていかなければいけない。

私は今でも自分の股関節は十分に動いてはいないと思っている。もう何年も取り組んでいるのに。動作を変えていくというのはそのくらい時間がかかる。でも、だからといって取り組まないと、エーハラの場合はそのうちバスケができなくなってしまう。みんなも「昔膝やっちゃってさー、それからバスケしてないんだよね」って言ってるエーハラが容易に想像できると思う。そうならないために、地道にトレーニングしていくしかない。股関節が動くようになってくれば、今まで膝だけで受け止めている衝撃を股関節も使って受け止めることができるようになる。そうすれば膝の痛みもなくなってくる。

股関節を動かすトレーニング

上記のことをふまえて、どうやって股関節を動くようにしていけばいいのか。私が最初にやったのは、ももの裏とおしりに力感を感じるような動きの練習だった。スクワット、ディフェンスのステップ、ジャンプの動作。「膝に力感を感じない動き」でそれらの動作を練習した。今まで使っていなかった筋肉に刺激を与えるような、そんなイメージで練習してみるといい。

あとはかかとで動く練習をするのもいい。

かかとで走る(より速く走れるように練習する)
→股関節が動かないと走れないので、強制的に股関節を動かすことができる

かかとでジャンプする(より高く跳べるように練習する)
→股関節の伸展を使わなければジャンプできないので、強制的に股関節を動かすことができる。

かかとって言ってもかかとの端っこではなくて、すねの真下あたりをついて動くようにするといい。

ランニングシュートのときとかも、かかとだけで動いてみたりするといい。特にランニングステップのジャンプとかね。あとは走っているときに、膝を外側に向けた状態で足を床につくようにする。そういう走り方を練習する。感覚としてはかなり外側に開く感じになると思う。でも大げさにやるくらいでちょうどいい。ずっとがに股にするわけじゃなくて、床から離れた足は内旋しなきゃいけないから、床につくときに膝を外側に開くことを意識して、あとはリラックスという感じ。

それと骨盤がしっかりと起きるように胴体部のトレーニングもしたい(骨盤が後傾していると股関節が動かないので)。胸のトレーニング。股関節のトレーニング。これは説明が難しいので会った時に。

腕組みしたエーハラ

ちなみにエーハラと全く同じ動きをしているのがビンス。ビンスがホーネットに来たばかりの時も私は「このままだと膝が悪化(もともと痛めていた)しますよ」と忠告したが、十分に動作を改善できずに怪我を悪化させてしまっていた。医者には「膝の筋肉を鍛えろ」と言われたらしいけど、膝の筋肉を鍛えても動作が変わっていないならまた怪我してしまうに決まっている。むしろ膝の筋力が強くなった分、膝に与えるダメージ(反動)も大きくなってしまったりして・・。ビンス同じ道をたどらせないようにしないといけないな。