1対1はできるだけ狭いスペースで、そして短時間で勝負を決めたいです。なぜなら大きく動くほど、時間が長引くほどミスのリスクが高まるから。今回は、一瞬で勝負を決める1対1について考えてみます。

ディフェンスを引きずらない

私が1対1をするときに意識しているのが、「ディフェンスを引きずらない」ということです。「ディフェンスが引きずられる」というのは、遅れてはいるもののディフェンスがオフェンスの動きに反応してついてきている状態のこと。そういう状態を引き起こしてしまう1対1は、最終的にはオフェンスが勝ったとしてもあまりいい1対1とはいえません。なぜなら、

1.ディフェンスを抜くのに長い距離と時間が必要になり
2.ヘルプに囲まれるリスクが高くなり
3.ボールを持ちすぎてしまう

からです。

チノドライブ

ディフェンスを引きずるような1対1をすると自分が使うスペースが大きくなります。それは他の味方の動きを殺すことに、そしてヘルプディフェンスが間に合いやすくなることにもつながります。長い距離動くので体力も激しく消耗するし、プレッシャーのかかる状態が長く続くぶん視野も狭くなって判断力も低下します。周りの選手も、そういう1対1には非常に合わせづらいです。

しかしディフェンスが1歩も動けないという状態で抜くことができたら、自分が使うスペースはそれほど大きく必要ありません。他の選手が動くスペースが大きく残されているので合わせの動きもしやすいし、ヘルプディフェンスが寄ってくるのもじっくり見ることができて、パスもさばきやすくなります。やるならそういう1対1をするようにしたいです。

ドリブルをつく前から勝負は始まる

一瞬で相手を抜き去る意識を持つのが大切です。1ドリブル、もしくは2ドリブルで勝負が決まるような1対1をしたい。ゲームの中で1対1ができるだけのスペースがあくのは、ほんの一瞬。その瞬間をのがさず仕掛けて勝負を決めたいのです。ドリブルを何度もついてディフェンスをずらすのではなく、ドリブルをつく前からステップ(ピボット)で攻めて、ドリブルをつくときには勝負が決まっているというのが理想です。

もし3回、4回とドリブルをつかなければいけなくなってしまったら、それはもう1対1のタイミングをのがしてしまっていると考えたほうがいいです。無理せず味方にパスを出したほうがいいかもしれません。

シュートフェイクを使う

ディフェンスをジャンプさせることができたとしたら、オフェンスはディフェンスを抜くまでに移動する距離をかなり短くすることができます(ディフェンスは動けないから)。さらに、少し離れた位置にいるディフェンスを自分のほうに向かってこさせることができたなら、もっと短い距離で勝負を決めることもできます。そういう状況を作るために使いたいのが「シュートフェイク」です。

シュートフェイクは上手に使うと、「ディフェンスの重心を浮かせる」「ディフェンスを前に引っ張り出す」という効果が得られます。ジャンプまではさせられなくても、少しでも重心が浮いてしまったらディフェンスもう横には動けません。慌てて前に出てくるディフェンスも、左右の動きには反応しにくくなります。そういうディフェンスを抜くのは簡単です。一瞬で、しかも短距離で勝負が決まります。

仮にディフェンスが前に出てきてくれたとしたら、ディフェンスが前に出たぶん奥には大きなスペースがあくことになり、そのスペースが目の前のディフェンスだけでなく相手チームのディフェンス全体が崩れるキッカケにもなります。試合の中でそういう場面を多く作ることができれば、かなり有利にゲームを進めることができます。

ということで、ディフェンスを引きずらない1対1についてでした。1対1が強い人は結構いるけど、「引きずらない1対1」ができる人はあまり多くはない印象。ぜひとも意識しておきたいところです。