今回はいつもとは少し変わって、カラオケとバスケの話。どちらも「いきなりうまくなる」こともあり得るという実体験を紹介したいと思います。

カラオケでの急激な変化

1月2日の初バスケの夜、新津の時遊館でウエキ会が開催されました。ウエキ会は私の高校の同級生であるウエキくんが帰省するのに合わせてお盆と正月に開催される、飲み会またはカラオケ会です。会場はだいたい村さ来か時遊館。今回はカラオケで、やっさんも参加しました。実はやっさんも結構歌えます。

はばたくやっさん

私、カラオケは好きですが歌はあまり上手ではありません。小学校の通知表は音楽だけがいつもダメで、ずっと音痴と言われ続けてきました。歌の授業とかめちゃくちゃ憂鬱だったもんね。でも今回のウエキ会では私が今までとは全く違った感じで歌えるようになっていて、参加者たちが驚いていました。歌がうまくなったというのは自覚があって(もちろんうまくなったといってもたかが知れているのですが)、音をあんまり外さなくなっていました。自分でもかなりの変化が起こっているという感覚があり、実際に一番歌がうまい番Bも絶賛してくれていたので他の人にも見えるかたちで上達できていたと思います。

ちなみにカラオケは12月3日に1年半ぶりくらいに行って、12月10日のホーネット忘年会、12月27日、年があけて1月2日と、高頻度で行っていました。12月3日は久しぶりに歌をうたったということもあってなかなかひどいものでしたが、10日は歌うことに慣れ、27日は最初はいつもどおりだったものの途中から急に声の出方が変わってうまくなりました。音を外してしまうのが長年の悩みでしたが、何かが「はまった」ような感じがあって、声が急に安定するようになり、音も外さなくなりました。この変化は歌い疲れてきた頃に起こったので、疲れによってムダな力が抜けたのが良かったのかもと思っています。それが1月2日も継続されていて、ウエキくんや番Bが驚いたというわけです。

いつも試行錯誤をしていた

一人で車を運転しているときは、ほぼ歌を歌っています。カラオケに行くときのために、ひっそりと練習しているんです。今思い返すと、ここで結構な試行錯誤をしていました。例えばわざと低い声で歌ってみたりとか、音をよく聞くようにしてみたりとか、腹に力を入れてみたりとか、姿勢を工夫してみたりとか。歌の練習以外にも「聞き取りやすい声が出せるように」と発声の練習もし足し(完全に自己流ですが)、藤原竜也の声がカッコ良いなーと思いYoutubeでインタビューの動画なんかを見て研究したりしていました。

そういうことをしてきた結果少しずつ「腹から声を出す」という感覚がわかってきて、最近では喉にあまり力をいれなくても歌えるようになってきていました。喉で音を鳴らすのではなくて、もっと低い位置(腹)から声を出して歌う感じ。腹から声を出せるようになって初めて、今までまったく腹が使えていなかったということに気が付く。そしてカラオケに行ったら、急に歌えるようになったわけです。

やり方がわかった

今までは音の定まらない声を喉に力をいれて無理やりコントロールしていましたが、そんなことをしなくても声が安定するようになりました。「耳が良くなったんじゃね?」と言われたのですが、私は「声の出し方がわかった」ような気がしています。いろいろな音が聞き取れるようになったのは事実ですが、それはいろんな高さの音を出せるようになった → 自分が出せる音をきちんと聞くようになったという流れだと思います。同時にいろいろなことを試していたのでいきなり歌えるようになった理由は今もハッキリしませんが、同時にいろんなことを試していたからこそ、すべてがかみ合ったときに「急に」できるようになったのかなと思っています。

バスケの上達も急激に起こる

バスケは習慣のスポーツと言われているように、練習を積み重ねないとうまくならない、ある程度時間をかけないとうまくならないと一般的には思われています。そういう側面があるのは間違いないのですが、練習を積み重ねて少しずつ上達していく(じわじわとうまくなっていく)のではなく「いきなりうまくなる」「劇的に上達する」ということも実は起こります。今までうまくいかなかったプレーが急にうまくいくようになる。今まで入らなかったシュートが高確率で入るようになる。自分でもハッキリとうまくなったということがわかる上達です。そういう上達をするための前提条件は「試行錯誤していること」。先ほどのカラオケの話と一緒です。

試行錯誤とは何か

試行錯誤の意味を調べてみると、「課題が困難なとき、何回もやってみて、失敗を重ねながらも段々と目的にせまって行くという仕方」と出てきます。何か課題をもって、それがクリアできるようにあーでもないこーでもないと練習していく。例えばドリブルなら、指先を意識してついてみるとか、手首に近い位置で押してみるとか、肘の曲げ伸ばしを意識してみるとか、いろいろと工夫できることがあります。そういうものを一つ一つ試していき、自分のメージ通りのドリブルに少しずつ近づいていく。それが試行錯誤です。

チノとリーダーのけつ

この試行錯誤がなければ、どんなに用意された練習に真面目に取り組んでいたとしても大きく上達することはありません。きつい練習をこなすとか休まず練習するとか。それだけでは足りないと思います。実際、私は中学高校ときつい練習を大真面目にやってきましたが、試行錯誤がなかったがためにほとんど上達できませんでした。ただこなすだけの練習にはあまり意味がないのです。

足し算ではなく掛け算になる

試行錯誤を重ねていると、あるとき急に新しい動きやプレーができるようになることがあります。いきなり新しい感覚が飛び込んできて「あぁこれだ!」と、「あの動きはこんな感じだった!」「できるようになった!」と、めちゃくちゃ強い快感を覚えます(何歳になってもこれがあるからバスケはやめられません)。そういうことが起こるのは、様々な工夫を同時に行うことによってそれらが互いに影響し合い、すべてがかみ合ったときに大きな変化となるからだと考えています。

ショーディフェンス

「練習を繰り返しじわじわとうまくなっていく」のは「足し算」です。少しずつ経験を積み重ねていってうまくなっていく。10+10+10=30のような、そんなイメージ。一方、試行錯誤からの上達は掛け算です。10×10×10=1000になるようなイメージ。同時にいろいろなことに取り組むことで、成果が何倍にも大きくなるのです。足りないものが多い私たちは、こちらの上達を目指さなければいけません。

実際に急にできるようになったこと

これまで経験してきた急激な上達の例をいくつか紹介したいと思います。どれも長い時間をかけて練習してできるようになったわけではなく(他のことの練習はずっとしてるんだけど)、急にできるようになったことばかりです。

レイアップ時のガードの手

レイアップシュートをするときに、ボールを持った手とは反対側の手でディフェンスの腕をブロックしながらシュートをうつプレーってありますよね。私はあれがどうしてもうまくできなかったんです。形を真似してもなんだか不安定で、シュートも非常にうちづらい。それが練習中にいきなりいい感じでできたことがありました。

ステップのときに重心が浮いてしまっていないことが大切で、重心が下に残っていれば跳ぶときにガードの手を上げられます。上げようとしてあげるというよりは、自然とあげたくなる感じがしました。重心が浮いている状態だと腕をあげることでバランスが崩れてしまいうまくいきません。このシュートを特に練習していたわけではないですが、ドライブの練習やドリブルの練習をしていたり、姿勢改善のトレーニングをしていたりしたのが急にできるようになった要因な気がします。

チェストパスが強くなった

パスの弱さが長年の悩みでしたが、それも最近は解消されつつあります。こちらも筋トレして少しずつ力をつけていって・・ではなく、ウォームアップのランニングシュートの中で急に今までよりはるかに強いパスが出せるようになりました。動き方の工夫・体の使い方の練習をしていたのが良い影響を与えていたんだと思います。

私は「手首のスナップをきかせる」という言葉を、「手首に力を入れればいいんだ」と誤解していました。手首のスナップをきかせることと手首に力を入れることはイコールではなく、むしろ手首に力を入れようとすればするほど、手首のスナップがきかなくなってしまいます。どうりでパスが強くならないわけです。私の場合、意識すべきは手首ではなく肩や胸のほうでした。肩をしっかり動かす。胸の力も使う。そういう工夫をしているうちに、チェストパスが強くなってきました。

ギャロップステップ

バスケを始めてから20年弱。ギャロップステップなんて一回もやったことがありませんでした。他のチームの練習にお邪魔したときに、ギャロップステップがまったくできず恥ずかしい想いをしたのを思い出します。その後何度練習してもしっくりこなくて練習をやめてしまいましたが、しばらくたったときに練習のゲーム中にいきなり使うことができました。

胴体が倒れすぎているとダメです。いや、倒れていてもいいけど、前に重心が傾きすぎているとうまくいきません。周りをよく見るような感じで体をしっかり起こし、その状態でステップを踏むとうまくいきました(私の場合)。これも姿勢の改善やドリブル練習がいい影響を与えていたと思います。

チノシュートチェック

という感じで、短期間でできることがどんどん増えていきました。こうなるとバスケが楽しくてしかたがなくなります。自然に練習への意欲もわいてくる。ほうっておいても自主練して勝手にうまくなっているような状態です。

まとめ

長々と書いてきましたがまとめると、

  • 「急に上達する」はありえる
  • 前提条件は「試行錯誤を重ねる」こと
  • 我々はそういう上達を目指さなければいけない
  • 毎日の練習で試行錯誤を重ねていこう

ということです。練習を掛け算にするためには、同時にいろいろなことに挑戦することが大切です。情報をあつめ、気になったものはとにかく試してみる。日々そういうスタンスで過ごしていけば、自然と試行錯誤の質も高まっていくと思います。ぜひ意識してもらいたいなと思います。