どうも、リーダーです。富士山に登りたがっているWARAさんのために、私とニセムラカワが富士登山をしてきた時の様子をお伝えしたいと思います。当時記録していたものがあるのでそれを見ながら書いていきます。

思いつきでバイクの旅に出た

まだガソリンが90円台だったあの頃。バイク(中型)の免許をとって浮かれていた私とニセムラカワは、バイク旅行に行くことにしました。当時我々の中で流行っていた「明日いこっか」。計画も立てず完全に思いつきの旅です。思いつきでなんでもやっちゃうのがかっこいいと思っていた時期が僕達にもありました。

山梨にいた大学の先輩の家に遊びに行き、一緒にバスケをして、その後琵琶湖経由で福井県の先輩に会いに行き新潟に帰ってくるという計画のようなものを30分くらいで考え、翌日出発することに。大学の夏休みで時間が有り余っていたので特に日数も決めずに出発しました。

「旅に出ます」という言葉を残して(急な話にもかかわらず受け入れてくれた優しい先輩方には感謝しかない)。

まずは山梨を目指します。山梨までは一般道で10時間ちょっと。結構な長旅ですが、私はバイクの免許を取ってからちょくちょく神奈川のニセムラカワ宅に行ったり、埼玉や東京の友人宅に行ったりしていたので長時間の運転にはわりと慣れていました。そもそもバイクの運転が好きだし。お昼くらいに長野で食べた蕎麦が美味しかったです。

山梨の先輩の家に到着して、すぐにお風呂をかり、時間が迫っているということでバスケの準備を開始。そうです。10時間走ってきて、その日の夜にバスケです。素晴らしい。その日の夜は非常によく眠れました。

富士山に登ることになったキッカケ

先輩宅があまりに居心地が良かったので次の日も泊めてもらうことに。その日の夕飯は先輩にとんかつを食べに連れて行ってもらいました。とんかつをおいしいおいしいと食べていると・・

先輩「富士山登る?」

この言葉から全ては始まりました。

私 「なぜ登るのですか?」

先輩「そこに富士山があるからだ。」

もちろん新潟を出発したときには富士山に登ることなんて全く考えていませんでしたが、すぐ近くに日本一の山があるということで話は一気に現実味を帯びていきました。

先輩「明日でしょ」

・・・思いつきでなんでもやっちゃうのがかっこいいと思っていた時期が(以下略)

先輩「伝説作ろうぜ!」

先輩は我々をやたら煽っていました。とんかつを食べながら「これ登ってきたらマジ伝説になるんじゃね?」と見事に煽られていた私達。いったいなんの伝説になるというのか・・意味がわからない。

テンション高めに話をしていると、先輩がポツリと言いました。

「帰ってきたらちゃんと感想きかせてくれよ」

え?

「俺は次の日仕事だから行けないよ」

一緒に行かねーのかよ!!軽く言い放っていた理由がようやくわかりました。

と、こんな感じで富士登山が決定。いやちょっと待て。仮にも相手は日本一の山だ。ノリで戦いを挑むのは無謀すぎる。我々は敵を知らなすぎるではないか。ということでベースキャンプ(先輩宅)に戻ってネットで富士登山の調査。

どうやら山開きは8月までで、それ以降は山小屋もしまっているとのこと(登ったのは9月3日か4日あたり)。初心者にはあまりお勧めできない、自己責任でとも書いてありました。もちろん私達は初心者です。しかもなんの準備もありません。

「やっぱりやめたほうがいいんじゃないか・・」などとは少しも思わず。懐中電灯無いな・・買えばいいか。防寒具無いな・・持ってきた雨具でいいか。靴がないな・・あ、バッシュがあるからいいか。天気も良さそうだし行けそうだな!ということで決行がきまりました。

プロテイン入りパスタが疲れた体に染み渡る

出発は次の日の夜。せっかくなのでご来光を拝みたい。河口湖口(吉田ルート)から登るので、5合目まではバイクで移動します。頂上までの所要時間は5時間30分(休憩なし)らしい。初心者な私達はもっと時間がかかるだろうということで、夜の9時ごろに出発、4時半頃に頂上に着こうという予定をたてました。

登る日の午後から買い物に行き、必要だと思われるものを買い揃えました。といってもそれほどお金を持っていなかったので、必要最低限のものだけを買いました。電気屋で懐中電灯を買い、世界最大級らしい1000円均一ショップなるところで登る用の服として1000円のスウェットを買いました。あちこち移動して結構歩きまわったのでこの買物でも結構疲れましたが、ベースキャンプに戻ると、先輩がプロテイン入りパスタを作ってくれました。どれだけまずいのかと覚悟を決めて食べましたが、予想に反しておいしかったです。

予定より少し遅れて出発。五合目までの道、富士スバルラインがあやうくしまるというところで通過。21時頃に5合目到着。本当ならここで1時間ほど休んで薄い空気に体を慣らせてから登ったほうがいいみたいだったのですが、予定より少し遅れていたこともあって30分だけ休んですぐに出発。

高山病?ナニソレ。(みなさんはしっかり体を慣らしてから登ってくださいね)

登山を終えて駐車場で一瞬眠るニセムラカワ。
駐車場で眠るニセムラカワ

空気薄くね!?

21時半、登山開始。興奮気味の序盤は足取りも軽く会話も弾んでいました。高いところから見下ろす街の光。経験したことの無い高さに「すげー!」を連発していると、あっという間に6合目に到着しました。6合目では地図をもらい、7合目を目指してすぐに出発。

「空気薄くね!?」

このあたりからすぐに息が切れる感じがしてきました。心臓もすごくドキドキいっている。頭も少し痛いような気がしましたが、気のせいだと思って登り続けました。休憩中ふとニセムラカワのほうを向いてみると、具合悪そうにしていました。軽度の高山病になっていたようです。

7合目までもそう長くはありませんでした。高齢の方が多いツアー集団や大量の外国人観光客を追い抜きながら(外国人登山者がかなり多かった!)、意外と早く7合目にたどり着きました。ちなみに5合目から7合目までは馬で登れます。料金はたしか12000円。たっけ!

7合目で少しだけ休憩して8合目を目指しました。このあたりから道が歩きにくくなってきました。というか、道ではなかったです。ただの岩場。こんなところ登るのか!?って思うような登りにくい岩場を両手両足使ってひたすら登り続けました。さすが日本一の山。攻略するのはそう簡単ではありませんでした。

岩場に咲いていた花
岩場に咲く花

8合目と書いてあるところが何箇所かあり、いつ8合目に到着したかわからず。この辺りはかなりきつかったです。風が強い上に冷たい。体温が奪われます。少し進んだら

「休もっか・・」

また進んだら

「休もっか・・・・」

強風で顔が冷たい。タオルを顔に巻いて登る。寒すぎて体が動かずすぐに疲れてしまう。かといって休むと体が冷えてますます体が動かなくなる。1000円のスウェットと雨具じゃ装備が貧弱すぎでした。

頂上は凍えるほど寒い

8合目あたりからライバル(知らない男性2人組)が出現。競争じゃないのはわかってるけどなんとなく意識してしまい、抜きつ抜かれつでペースアップ。なんとか雲の上に出ました。雲の上からは地球の丸さがよくわかる。

私達が登っているとき雨は降っていませんでしたが、下を見ると雲の中に紫色の雷が見えました。おそらく雨が降り始めたのでしょう。雲を抜けるときに少し濡れましたが、雨でびしょびしょにならなかったのはラッキーでした。

雲の上は風が強かったものの、もちろん雨は降らず快晴。今まで見たことのない満天の星空。地上では見えないような星も見えるため、まさに「満天」という感じでした。上を見なくても横を向けば星が見えるんですよ。オリオン座が横にありましたから。本当にすごかったです。

雷を上から見下ろす。横に見える満天の星空。初めての経験に二人共興奮はするも強風と寒さで会話は全く弾みませんでした。風が強くて会話どころではない。暴風で口をあけるとほっぺがビロロロってなりますからね。

9合目はいつ到着したのかわかりませんでした。通り過ぎた鳥居が9合目だったのか。気がついたら山頂に到着していました。時間は午前3時。当初の予定よりもかなり早くついてしまいました。

山頂はよく晴れていてご来光も見れそうだったのですが、とにかく風が強くて寒い。とりあえず建物の影に座って風を避けます。近くにいた外国人カップルが一枚の毛布にくるまりながら身を寄せ合っているのを見て毛布がかなりほしくなりました。

4時すぎくらいになって、いい場所でご来光を見るために建物の影から移動。ベンチみたいになっているところの一番前を陣取りました。そこから1時間半、震えながらご来光を待ちました。下を見ると登ってきている人のライトの光が繋がって見えます。かなり登ってきたんだなぁと実感しました。

太陽はあたたかかった

目の前にはすごい雲海が広がっています。一番前に座っているので視界を遮るものは何もありません。星が見えなくなり、空がだんだん明るくなってくる・・・。むこうの雲がオレンジ色に輝いてきています。

ご来光1

ご来光2

ご来光3

「そろそろかな・・・。」と、思い続けて30分。やっと待ちに待ったご来光です。

ご来光4

ご来光5

ご来光6

ご来光7

おぉー!!

沸き起こる歓声。非常に感動的な景色で、目の前に広がる雲海に吸い込まれそうになるような感じがしました。まさに絶景。大変な思いをして登ってきたぶん感動もひとしおでした。

ご来光8

周りを見渡すと体を震わせて感激に浸っている人も。いや、寒かっただけか。頂上はホントに尋常ではない寒さでした。ご来光に感動した次の瞬間には「寒い!早く降りなければ!」と考えるくらいです。

山頂での人々の様子

しかし太陽が出てからは寒さもかなり和らぎました。この時は初めて太陽ってものすごく温かいんだと実感。光がさしてきた瞬間に一気に暖かくなりましたからね。それにも感動。ただ風が強かったので寒いのは寒かったです。

風が強すぎたのでお鉢巡りはやめて、山頂で記念に3歩だけサイドステップをしました。

日本一高い場所でサイドステップする様子。この姿勢の悪さは半端ない。
富士山頂でサイドステップ

下山がキツイ

山頂ではお店が一軒だけ開いていましたが、あまりよさそうなものがなかったので何も買わずに下山開始。歩き始めるとすぐに体は暖かくなりました。太陽の力ってすごい。

目の前に広がる雲海

降りるのはきつかったです。登りと違って延々と同じ景色の道が続きます。しかも先が見えない。結構急だし、やわらかい砂利道な感じなので足腰にきます。赤土でお気に入りだった白いバッシュ(Answer5)は真っ赤に。ソールも砂利で削れてツルツルに。

3時間かかってようやく下山。平らな道を歩ける幸せを感じました。途中馬とすれ違いました。でかい。下りも馬で行けるみたいでした。

降りてからは土産屋のトイレ(1回50円 見張りのおばさんがいる)に入り、出てからすぐ近くにタダの公共トイレを発見。どんまい。

少し休んでお土産を買い、ベースキャンプへとバイクを走らせました。富士スバルラインの下り、何度寝そうになったことか・・というか今思うと半分寝てたような。危なすぎます。この時初めて「疲れてるとバイク運転してても眠くなるんだ」ということがわかりました。

その後ベースキャンプに戻り、先輩のパソコンのHDD増設を手伝い、ラーメンを食べに行き、買い物に行き、帰ってきて外でちょっとバスケをして、その後ようやく部屋で休みました。相当疲れていた&滞在が思ったより伸びたため琵琶湖と福井の予定は無しに。その日の晩はゆっくり休ませてもらって、次の日に新潟に帰りました。

家に帰って富士山登ってきたことを家族に報告。ふ~んって感じで、あんまり驚かれなくてショックでした。何が伝説だよ!

と、私とニセムラカワの富士登山はこんな感じでした。おしまい。