日曜はエーハラと1対1して全部負けました。動きが速くて体の当たりも強いです。フェイクに引っかかっても頑張って追いかけてくるし、接触が起こってもゴリゴリ押し込むことができる。けっこう強いです。でも、試合ではこの1対1がなかなか活きてきません。なぜなら「エーハラの1対1はスペースを広く使うから」です。

必ずドリブルをついてから勝負している

エーハラの1対1は必ずドリブルをついてからの勝負になります。なぜすぐにドリブルをつくかというと、軸足を床から離して助走をつけるためです。両足を自由に動かせる状態にしてから勢いをつけて左右のフェイクをする。それで抜こうとしています。スペースが広く使える場面なら、試合でもそういう1対1が使えます。しかし残念ながら、それだけのスペースがあることはほとんどありません。

エーハラオフェンス

また、エーハラのような助走をつけてスピードを出しスピード差で抜くというのは、「抜き切るまでに時間がかかる」というデメリットもあります。相手が止まってくれていれば一瞬で勝負がきまりますが、ディフェンスはこちらの動きに合わせて動いてきます。そのディフェンスを「スピード差」で抜くというのはかなり大変です。止まっている車を時速40キロで追い抜くのは一瞬ですが、30キロで走る車を40キロで追い抜くには時間も距離もかかりますよね。それと同じです。

相手を抜くのに時間がかかればかかるほど、ヘルプディフェンスが準備する時間を与えることになります。また、距離をかせぐために大きく移動するので、自らヘルプディフェンスに近づくことにもなる。それで、なかなか試合中に1対1をすることができないんです。

スピードではなく駆け引きで抜く1対1を

エーハラに取り組んでほしいのは、スピードを封印して「駆け引き」でディフェンスをぬく1対1の練習です。例えばオフェンスのフェイクでディフェンスを左にずらし、その瞬間に右ドライブすることができれば、一瞬で、しかも距離を使わずにディフェンスを抜き去ることができます。また、シュートフェイクによってディフェンスを跳ばせることができれば、その場から動かない相手を抜き去ることができます。助走が必要なほどのスピードは必要ありません。そういう1対1を目指して練習してほしいです。

エーハラディフェンス

エーハラだけでなく、イセやヤマザキなど、速く動ける人はその身体能力に頼って駆け引きをおろそかにした1対1をしがちです。しかしそういう1対1は実用性があまり高くないうえに、自分よりも動きの速い人と対峙したときに一切通用しなくなってしまいます。スピードに頼らないで駆け引きで抜く。そういう意識を持って1対1の練習をしていきましょう。そのほうがバスケットがうまくなると思いますよ。